カタヤマさんの頭の中

久しぶりの実名ブログです

終盤の追い上げラブコメ感に血圧が上がるーー『めぞん一刻』

 

めぞん一刻』というと、高橋留美子作品の中ではマイナーな部類のもの、と個人的には思っていた。

 

 

週刊少年サンデー」「週刊少年マガジン」、略して「サンマガ」で活字を覚えた私にとって、高橋留美子作品はとても身近な存在だった。

その中でも、一番印象に残っているのが、保育園の終わりから小学生時代に連載されていた『らんま1/2』、そして夏休みになると必ずと言っていいほどアニメの再放送で見ていた『うる星やつら』である。

 

めぞん一刻』に関しては、

・ヒロインは未亡人らしい→暗そう

・だらしない青年が主人公らしい→「うる星やつら」の諸星あたると被る

ということで、幼少期の私の中では「特に読まなくても良い作品」の中に位置付けられていたように思う。

 

で、こちらの記事(ものすごいものに手を出してしまった - カタヤマさんの頭の中)でも書いた通り、育休中に何を読もうかと考えるにあたって、どうしても高橋留美子あだち充両巨匠の作品は押さえておきたかったのだけど、いきなり本丸の「らんま1/2」、「H2」に手をつけるのは勿体ない気がして、手始めに手をつけたのがこの『めぞん一刻」だった。

(余談だが、本を保管するスペースがないので、基本的にはTSUTAYAのコミックレンタルを利用している。)

 

 

で、この漫画、序盤は本当にどうしようもない。本作のテーマは「古アパートに住む主人公の青年五代裕作とその五代が思いを寄せる管理人の音無響子の繰り広げるラブコメディ」のはずなのだが、アパートの住人である脇役たちの個性が強すぎて、何ともやかましい。二人の恋路は事あるごとに住人たちに邪魔されて一向に前に進まない。

多少の邪魔であればラブコメの箸休めになるところ、箸休めではなくフルコースのように、というか田舎のばあちゃんちの大皿メシのように次から次へと差し出されるので、本丸が行方不明になるのだ。

 

めぞん一刻』に関しては1回のレンタル(7泊8日)で2巻ずつ借りることにしていたのだが、2、3巻読んだところで「あっ、これはラブコメというよりお気楽なギャグ漫画なのだな」と考えを改めたほどである。

 

主人公五代は浪人から大学生、そして就職浪人となり、時間の経過は感じさせるものの、二人の関係は大した発展を見せない。私が読んでいたのは全10巻の文庫版(オリジナルは全15巻であるらしい)なのだが、8巻くらいまで読んだところで、「一体この物語をどうやって着地させるつもりなのか」と不安になったほどだ。

 

ところが。最後の2巻が怒涛の展開だった。

まずは五代の恋敵の三鷹が勝負に出る。響子に想いを寄せつつも叔父から勧められた見合いを断りきれず、と煮え切らない態度であったところを、「響子さん、これで本当に最後にします」と一気に畳み掛けるのだ。

結局、三鷹は響子に振られてしまうのだが、この描かれ方がすごい。

それまで「爽やかだけどちょっとイケすかないやつ」としてそれほど共感できなかった三鷹だが、この数話で一気に肩入れしてしまった。そしてその後三鷹が下した決断もグッとくる。もうここはぜひ漫画で読んでほしい。絶対泣けるから。

 

そして極め付けは最終巻だ。

堰を切ったように五代と響子の関係が一気に進むのだ。

ここはもう、私の稚拙な表現ではなく、絶対漫画を読むべき。私は心の中で何度か叫んだ。

「うおーー! 留美子ーー!!」

高橋留美子ここにありーー!!」

長年「サンデー」を支えてきた屋台骨、高橋留美子。甘酸っぱいラブコメを描くのが得意なことは知っているつもりだったけれど、『めぞん一刻』が連載されていたのは「ビッグコミックスピリッツ」、青年誌だからね。

しっかり青年層を意識した終盤だったわー!!

ああ、五代君、響子さん、そして三鷹さん。あなたたちは私の心の中で一生生き続けることでしょう!!

 

あまりにも衝撃的すぎて、消化不良を起こしてしまった最後の2巻。ちょっと時間をおいて必ず再読したい。

うる星やつら』も『らんま1/2』も結末がどうだったかよく覚えていないので、こちらもこの育休中にしっかり読んでおきたいと思う。あ、『犬夜叉』もか。。課題図書たくさんあるな。。

 

それではまた、面白い漫画があれば紹介します!

アデュー!!