カタヤマさんの頭の中

久しぶりの実名ブログです

次女が生まれた時のこと〜コロナ禍出産の記録③〜

 

前回の記事の続きです。

 

katayama-san.hatenablog.com

 

さて、日付は変わって計画出産当日。

ぐっすり寝ていざ戦場へ!とはいかず、ソワソワして空が明るくなる前に起きてしまった。

4時!

 

なんとか目を瞑ってもう一度眠ろうとしたけれど、頑張れば頑張るほど目は冴えるばかり。

仕方ないので持ち込んだ本をめくってやり過ごす。

 

結局、それからまんじりともせず、ナースステーションへ向かう時間となった。

 

顔を洗い歯を磨き、コンタクトを入れて(本当はダメかもしれないのだけど、お一人様分娩なのでえいやっと入れた)、鏡で自分の妊婦姿をまじまじと確認する。

お腹が目一杯せり出していて、今にも破裂しそうだ。

今日と言う今日まで「生きているだけでしんどい!」という日々が続いた。

お腹が重すぎて立っていても座っていても辛いし、仰向けには寝られないし、かと言って横向きに寝ていてもお腹が邪魔でまともに寝られないし。

この不自由な体にもこれでおさらばして、夜には思う存分仰向けで眠れるんだ! そう思ったら胸がいっぱいになった。

「あとは無事に産むのみ!」

 

最後に鏡越しに膨らんだお腹の写真を撮って準備完了。

出産セット一式を持ってナースステーションへ。

 

ベテランっぽい風格のある助産師さん(でも若い)から簡単な説明を受けて、部屋へ案内される。

左手にルート確保の点滴を入れて、お腹にモニターを巻く。

続いて陣痛促進剤も開始。

「今から入れますね。痛くなるまでには少しかかると思いますけど」

実は長女の時も微弱陣痛で苦しんだので、促進剤は2回目。慣れたものである。

が、同時に苦い記憶も蘇る。朝点滴開始して、長女が生まれてきたのは夜なんだよな。。

すぐには痛くならないのも良し悪しである。

(でも長女の時はすでに痛い中促進剤だったので、激痛だった。)

 

いささか不安になり助産師さんに相談。

「かくかく然然で、今日中に生まれてくるか不安なんですけど……」

「大丈夫! 経産婦は初産婦とはお産の進みが全然違うから! 前回のことは一旦忘れましょう!」

ほ、ほんとうに?

 

「とりあえず、当分はのんびり過ごしてもらっていいから、テレビ。そこにあるから自由に観ててね。」

ほい、とリモコンを渡される。

テレビって。。あれ、お産ってそんなゆるい感じなんだっけか?

 

とはいえ、携帯のバッテリーは節約しておく必要がある(立ち会いできないので、出産の瞬間はFacetimeで実況するつもりだった)ので、夫に状況説明のメッセージを入れてテレビをザッピングする。

とりあえずニュースを見て、「あさイチ? いやそれよりも……」当時の週間でEテレをつけた。「おかあさんといっしょ」を観るのだ。

歌うゆういちろう、踊るまこと。

 

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歌うゆういちろう

 

ああこの頃はまだ、長女が「おかいつ」を観ていたな。

 

それが終わると、謎の生物が画面に現れた。

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誰だお前!

多分Eテレの9時台あたりの番組なんだけど(っていうか今気づいたが、写真右下に9:58って出てる)、この人なんだったんだろう。

明らかにドラァグクイーン的な何かなんだけど、朝からこう言うの出すなんて、NHK攻めてるな。

 

時々ベッドの横にあるモニターの数字を確認しながら(お腹に取り付けられたバンドで測定している。お腹の張りとか、胎児の元気さがわかる、らしい)、陣痛が来るのをひたすら待つ。

 

っていうか、ヒマ!

確かにお腹張ってる感じはあるけど、長女の時に比べたら余裕のよっちゃん(昭和)だし、今日中に生まれるか不安になってきたんですけど!

お産に時間がかかりすぎて夕飯食べ損ねた前回の失敗を繰り返したくないんですけど!

(だって朝から絶食だから、夕飯食べられないと流石にしんどいじゃない? しかも今回は、前回のように「お腹空いたから何か買ってきて」っていう相手もいないのよ?)

 

 

寝不足の私は、時々うつらうつらしながら陣痛を待った。

時々助産師さんがやってきて「お腹の痛みどうですかー?」と聞きに来るのだけど、それらしい痛みを感じない私は、「いやー、張ってる感じはあるんですけどねー」と返すしかない。

確かにモニターの数字は定期的に上昇しているので、陣痛になりかけてはいるのだろう。

いや、でも陣痛って確かこんなもんじゃないし、そもそもお腹痛かったら眠れないし、うーん。

 

時折本格的に眠ってしまったりして、ひたすら緊張感のないままお昼を迎えた。

いや、これ本当に今日中に生まれる?

夕方になっても生まれなくて、「じゃあ明日仕切り直しでもう一回!」って言われるの嫌なんですけど。。

(事実、前回は危うくそうなりかけた)

 

一旦、院長の内診。

「あー、子宮口はいい感じに開いてきてるんだけどね。このまま進まなかったら、あと1時間後に破膜して破水させちゃいましょう。そしたら一気に進むと思いますよ」

「あっはい、わかりました」

眠くて生返事をする私である。

ってか眠いってなんなんだ! これから出産するというのに、私の頭の中7割型「眠い」なんですけどこの緊張感のなさは何!?

痛い、とか、怖い、とかそういうのはないわけ?

 

セルフツッコミをしつつ、またもや夫にLINEで報告。

いや、出産をセルフ実況とか、いい時代になりましたな。

 

特にやることもないので、「人工破膜 破水」で検索検索ぅ!

 

げっ!

 

「破水後も分娩が進まない場合、帝王切開となる可能性があります(とかなんとか)」

おいマジか!

怖いもの見た!

いやです! ここまで来て、帝王切開はいや!

無痛で産ませてくれ頼むから。

 

焦りつつもまたもやうつらうつらしていると、いつの間にかまた院長の内診の時間に。

「はい、また子宮口診ますよ。お、これはいい感じ。

 じゃあ、破膜しますよ。……あれ?」

あれ?

「今破膜しようと思ったんですけど、自力で破水しましたね。

 これからお腹痛くなると思いますよ」

 

なんと、自力で破水したらしい。

長女の時は頭が出る直前まで破水しなくて、最終的にハサミか何かで卵膜を破ったので、自力で破水したのはよかった、のかな。

いよいよ本格的な陣痛が来るらしいので、覚悟覚悟ぅ!

 

 

あー、きたきた! なんか痛い気がしますよー!

長女の時と比べるとだいぶ余裕はあるものの、きりきりきりと締め付けられるような痛みを感じたので様子を見にきた助産師さんにすかさず訴える。

「痛いです!」

 

そこからは事態は急転直下。

「今院長呼びますね。」

あれよあれよという間に血圧計とパルスオキシメーター(酸素濃度測るやつ)を取り付けられる私。

「これから麻酔撃ちますから、横向きになって、お腹を抱えるようになるべく背中を丸くしてください。はい、動いちゃダメ!」

院長とサポートの先生二人がかりで押さえつけられ、背中から硬膜外麻酔を注入。

針が入る痛みはほぼなく、背中に何か硬いものを押し当てられるような感覚があっただけ。

 

右側を下にした横向きの体勢で麻酔を打たれたので、まずは右側から痺れていき、麻酔が効いていることを確認して今度は左向きの体勢に。すると今度は左側も麻酔が回って痺れていく。

お腹は定期的に張る感覚はあるものの、痛いというほどではない。

 

「うわー、これは楽ですね。本当にこれで産めちゃうんですかね?」

思わずテンションが上がってしまい、助産師さんと談笑。

「ねー、楽でしょう。私は4人産んでるけど、その時に無痛分娩の選択肢があったら、私も無痛にしていたかな」

さらっと言ってるけど、4人も産んでなお産婦人科で働いているのか! この人半端ないな。

(ちなみに、お子さんは高校生くらいとのこと。朝の方とは交代していて、超ベテランの助産師さんだった)。

 

っていうか、そういえば分娩室に移動してないんだけど、ここはどこ?(多分陣痛室)

無痛分娩説明会で見せてもらった、あのお股をガバッと開いて寝る分娩台で産むわけじゃないんだ?

あの上に乗って、照明ピカーみたいなところで産むものだとばかり思っていたが……?

 

「はーいもう産まれますよ。今先生呼んできます。」

気がつけば、陣痛室の簡素なベッドの上で、赤子の頭は半分出かかっていたようです。

「ちょっと、まだ産まないで待っててくださいね」

 

私はと言えば、本格的な陣痛を感じたのは1度か2度。

間もなく我が子との対面を迎えるという実感も感慨もないまま、バタバタと準備する助産師さんを呆気にとられながら見ていた。

あ、いけない、夫に電話しなきゃ。トゥルルル。

 

「は、もう産まれる? 長女今、おかん(=長女のおばあちゃん)と公園行ってるけど」

いや、間に合わんて。もう先生来てるって。

助産師さん「はい、いきんでください」とか言ってるって。

 

と、ここらへんの記憶は曖昧だけど、我慢してできるものではないので、2、3回いきんでつるりと出産。

「おめでとうございます。元気な女の子ですよー」

前回に引き続き会陰切開なし!ドヤァ!(ただしどうしてもちょっと裂ける)

 

おぎゃあと泣いたのを確認して助産師さん。

「お母さん、へその緒、切ります?」

「えっ」

 

そうか、へその緒は長女と夫に切ってもらうつもりでいた。

デモンストレーションまでしていた。

長女を産んだ時、夫は「ホルモン切る時みたいに弾力があった」と言っていたな。

どうする? 自分できる?

「えー、最後の出産かもしれないので、切ります。」

ハサミを渡されてぎゅうぎゅう切る。確かに弾力が。

スパンとひと思いには切れなかったけれど、なんとか切断して終わり。

「はい、独り立ちでーす。」

助産師さんが生まれたての次女を胸に乗せてくれる。

カンガルーケアというやつだ。

 

「上の子、すごい大きかったんですよ。3200グラムくらいあって。

 予定日一週間近く過ぎて、お産もすごい時間かかっちゃって、陣痛が10分間隔になってから40時間かかったんですよ。

 今回は計画分娩で、38週で出産だから、やっぱりちょっと小ちゃいんですかね。

 なんかすごい軽い感じがします!」

出産ハイで喋りまくる私。助産師さんも温かく応えてくれる。

「そりゃあ、41週と38週じゃあ、下手したら500グラムくらい違うわよ。そうするとずいぶん軽く感じるわよね。ほら。」

そういうと次女を抱えて新生児用の体重計へ。

「あれ?」

 

「ごめんなさい、ちょっと測り間違えちゃったみたい。もう一度。

 ……あれ?

 お母さん、この子、3400グラムあるわよ。大きい!」

 

「えーーー!」

なんと、でかいでかいと思っていた長女よりもさらに200グラムほどでかい赤子が生まれてきた様子。

そりゃ重いわけだよー。

妊娠後期、お腹重くてメンタルやられてたものー!

 

そんなわけで、重さのわりにめちゃくちゃすんなり産まれてきた次女。

分娩時間が短かったせいか、体のダメージも少なく、麻酔が切れたタイミングで自力で普通にトイレにも行けてしまった。

(長女の時は立ち上がろうとした途端に貧血で倒れかけた。)

 

結局、ピンピンしたまま大笑いしながら無事に出産を終えることができた。

 

こんなことなら上の子の時も無痛で産めばよかった。

いや、希望はしていたものの、予約のタイミングが遅くて自然分娩にせざるを得なかったんだけどさ。

 

 

そんなわけで、世の中的に大変シビアな状況ではあったものの、健やかに次女が爆誕したのであった。

めでたしめでたし。

 

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硬膜外麻酔を抜いた後に貼られていた絆創膏。お世話になりました。